春名芙蓉の活動範囲はとても広く、その活動を通じて生み出されるものもまた、多岐にわたっている。書画・詩歌・絵画・写真・服飾・陶器絵付け等、春名芙蓉は、まるで呼吸をするように作品を生みだしていく。生命たちと語らい、大自然の息吹を呼吸して、その手の中から魔法のように紡ぎ出されていくさまざまな作品たち。それらのものには、無邪気に喜び、素直に感動する心が、あふれている。しかし、彼女の作品には、無邪気な感動の表現というだけでは、言い足りない何かがある。ひとひらひとひらの花びらを丹念に描き込み、幾重にも色を重ねて塗り上げていく作者の姿から、すべてのものを乗り越えようとする、強い意志の力が伝わってくる。作者の目は常に、その先にある大きな目的を見据え、たとえ目の前に困難な道のりが現れても、軽やかにあるがままを受け入れながら、無心に進んで行く。「安らぐ心は、さらに大きな安らぎを生むことができる。安らぎを創造するのは安らぎのこころのみ」と春名芙蓉は語る。 その言葉の中に、祈りにも似た思いがあることをうかがい知ることができる。春名芙蓉の活動の根っこには、安らぎの創造を願う心があり、それがすべての作品を手がける 強い動機となってはたらいている。

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